診療情報管理士はやめとけ?資格の将来性とメリット・デメリットを現役が解説

キャリアアップ

病院事務の間では専門資格として知名度が高い診療情報管理士。

一方で、ネットでは「診療情報管理士 やめとけ」と検索されることもしばしば。

どうして診療情報管理士はやめとけと言われるの?

資格を取ってもあまり意味がないってこと?

診療情報管理士を目指している人にはとても気になる話題ですよね。

そこで今回は、診療情報管理士として現役で働いている私が、

  • 診療情報管理士のメリット
  • 診療情報管理士のデメリット
  • 診療情報管理士として働いた感想

について、赤裸々にお話ししたいと思います!

大学で診療情報管理士の資格を取得。
10年以上総合病院で診療情報管理士として勤務しています。
DPC請求・分析、レセプト業務、病歴管理、診療記録開示、がん登録、パス作成などに従事。

結論:診療情報管理士は「やめとけ」ではないが、資格を取ってからが勝負

まず最初に、正直な結論からお話しします。

診療情報管理士は専門的な知識を身に付けることができますが、取得後も継続して勉強しなければあまり意味がない資格というのが正直な意見です。

もちろん、臨床医学・情報処理・統計などを一度に学べること、そして、学んだ内容が実際に業務に役立っていることを考えると、「やめとけ」と言い切るのは違います。

しかし診療情報管理士は国家資格ではないため、診療情報管理士しかできない業務というものはせず、資格を持っているだけではあまり役に立ちません。

診療情報管理士の資格を取得して活躍している人は、勉強した内容を生かして、「この人は他の事務職とは違う」と思われるような働き方をしている人です。

とら子
とら子

筆者も、ぶっちゃけ診療情報管理士を目指す前より資格を取ってからの方が勉強しているかも。

つまり、新しい知識をどんどんインプットしていく必要があるんだね!

もちろん、診療情報管理士を取得することでキャリアアップに繋がるなどのメリットもたくさんありますので、こちらについても紹介していきます。

診療情報管理士の資格取得には2年の通信教育が必要です。
受講を検討している方は、メリットとデメリットを理解しておきましょう!

診療情報管理士になるデメリット4選

まず、診療情報管理士になるデメリットは、こちらの4つです。

  • 国家資格ではないため知名度が低い
  • 病院によって待遇や手当に大きな差がある
  • 地方での求人が少ない
  • 資格取得までの学習負担が大きい

1. 国家資格ではない

診療情報管理士は国家資格ではなく、一般社団法人 日本病院会が認定する民間資格です。
そのため、院内でも一部の職員しか知らない資格だったりします。

国家資格ではないので、看護師や診療放射線技師のように資格がなければできない仕事があるわけではありません

診療情報管理士が得意な業務は多くありますが、勉強すれば誰でもできるというのが現実です。

とら子
とら子

診療情報管理士です、って言っても事務職員にしか伝わらないかも。

2. 病院によって待遇に差がある

診療情報管理士の資格を持っていると、毎月の資格手当が付く病院もあれば、全く手当が付かない病院もあります。

資格手当については本当に病院によってバラバラ。
一概にここなら資格手当が付く!ということは言いにくいのですが、公務員扱いの施設では手当が付きにくいように感じます。

ただし、資格手当が付く病院に転職できた場合はメリットになりますね。

とら子
とら子

ちなみに私は…手当貰ってません!
以前は月1万円くらい資格手当が付いていましたが、全職員の基本給UPと引き換えになくなりました(泣)

3. 求人数が少ない

診療情報管理士の求人は、都市部の大規模病院に集中しています。
地方では募集自体が少なく、「資格を取っても転職先が限られる」と感じる人もいます。

医療事務や看護師のように幅広い就職先があるわけではない点には注意が必要です。

とら子
とら子

診療情報管理士の資格を取ってそのまま同じ病院で働くケースもあるから、求人がない病院もあるよ。

4. 資格取得までの学習負担が大きい

診療情報管理士認定試験を受けるためには、このようなハードルがのしかかってきます。

  • 2年間の通信教育課程を修了する
  • 受講料として22万円かかる
  • 試験は年1回のみ

診療情報管理士認定試験の受験資格としては、指定校に入学して規定の課程を修了するか、日本病院会が指定する2年間の通信教育課程を修了する必要があります。

つまり、過去問だけで独学で勉強して受験するということはできません

また、通信教育を受講した人の合格率は6割前後といわれているため、合格率が高いとも言い切れません。

働きながら学ぶ人にとっては、時間的・精神的な負担が大きい点がデメリットです。

診療情報管理士になるメリット

次に、診療情報管理士になるメリットについて紹介します。

  • 医療・統計・情報処理を横断的に学べる
  • 病院経営に直結する仕事に関われる
  • キャリアアップの土台となる知識が身につく
  • 医師や看護師からの信頼を得やすい

1. 医学・統計・情報処理を横断的に学べる

診療情報管理士の大きな魅力は、医学・統計学・情報処理を満遍なく学べるところにあります。

具体例を挙げると、こんな感じです。

  • 臨床医学(疾患や解剖)
  • 医療管理(医療安全や病院管理)
  • 診療報酬(医療保険やDPC制度)
  • コーディング
  • 医療統計学

病院事務で診療報酬や情報処理に精通している人は多いと思います。
しかし、両方の知識がある人や、臨床医学まで理解できている人は少ないのではないでしょうか。

また、管理職になると、医療統計学など経営分析の知識も必要になってきます。

キャリアを積み重ねるごとに、医療・統計・情報処理すべての知識が必要になってくると実感するでしょう。

とら子
とら子

医学知識があれば、先生がこれ欲しい!と思ったデータが出せるし、臨床現場も理解したうえでの経営分析ができるようになるよ。

2. 病院経営に直結する仕事ができる

診療情報管理士は、大きく分けて2つの面から病院経営に貢献できます。

  • DPC請求業務などを通して、病院の診療報酬に関わる
  • データ分析を通して、病院の経営改善に関わる

DPC請求業務では病院収入に関わる仕事ができますが、データ分析では病院全体の経営改善に携わることができます。

「単なる事務職」から一歩進んだ存在感を持てるのは、自分の大きな強みになります。

特にデータ分析においては、医学・統計学・情報処理全ての知識が求められます。
ここは診療情報管理士が活躍できる場ですね。

3. キャリアアップの基盤になる

診療情報管理士で習得できる知識は、病院事務職のキャリアアップにおいて必要不可欠です。

管理職に就くためには、診療報酬の知識はもちろん、情報処理やある程度の医学知識も必要となってきます。
幹部会議の資料作成や、経営分析といった業務があるからです。

診療情報管理士の資格がなければ係長や課長になれないというわけではありませんが、管理職に求められる知識を身に付けられる資格であり、大きな武器になります。

とら子
とら子

管理職に就いたのに、分析が苦手で何でも部下に聞く上司居るよね~。

4.医師や看護師からの信頼を得やすい

私は、診療情報管理士は事務職と医療職をつなぐ架け橋だと考えています。

診療報酬改定や経営改善のために、事務職が医師やコメディカルとやりとりをすることがあると思います。
その時に、臨床現場に詳しい事務と、そうではない事務、どちらのほうが話しやすいでしょうか。
ある程度医学知識のある人のほうがスムーズに話し合いができますよね。

その逆も同じで、例えば看護師が事務に頼み事をする時は、ある程度現場を理解している人に話したいと考えるでしょう。

このように、職種を超えた繋がりはキャリアアップするうえで非常に重要です。

とら子
とら子

相談できる医師や看護師の存在は本当に大きい。
信頼関係を築くためにも、いろいろな知識を身に付けましょう。


実体験から感じること

私は、病院で診療情報管理士として働き始めて10年経ちます。

最初はコーディングや診療録の管理をしていましたが、DPC分析などを行うようになり、自分が病院経営に関われていることにやりがいを感じています

でも正直、資格を取ってからのほうが勉強している気がします。

診療情報管理士を取り巻く環境は年々変わるので、知識をアップデートしていく必要があります。
例えばAIの活用や、ICD-11のアップデートなど。

また、診療情報管理士は国家資格ではないので、自分の存在価値を自分で作る必要があるんですよね。
この仕事は○○さんしかできない!と思われるようになる、とか。
そのためには、習得した知識を生かして、自分にしかできない仕事を作り上げていく必要があります。

つまり、診療情報管理士は資格を取ってからどれだけ学び続けられるかで未来が変わる資格です。

まとめ|診療情報管理士は「未来につながる資格」

最後に、ここまでの内容を簡潔にまとめます。

診療情報管理士のデメリット
  • 国家資格ではないため、知名度が低い
  • 病院によって待遇や手当に大きな差がある
  • 地方での求人が少ない
  • 資格取得までの学習負担が大きい
診療情報管理士のメリット
  • 医療・統計・情報処理を横断的に学べる
  • 病院経営に直結する仕事に関われる
  • キャリアアップの土台となる知識が身につく
  • 医師や看護師からの信頼を得やすい

診療情報管理士は、資格を取っただけで収入が大きく上がるものではありません。

しかし、医療現場を支える知識とスキルを身につけ、キャリアを広げる資格です。

とら子
とら子

診療情報管理士は未来につながる資格と言えるね!

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